公園や道路脇の草地に生える白い野生キノコには、オオシロカラカサタケ(Chlorophyllum molybdites)のような有毒種がある。白い傘や緑がかったひだは危険を疑う手掛かりになるが、写真や外見だけで食用と判定してはならない。
野生キノコを食べて嘔吐、腹痛、下痢などが出た場合や、一緒に食べた人に症状がある場合は、残ったキノコと調理品を持って直ちに受診する。家庭で吐かせず、意識がない、けいれんがある場合は119番へ連絡する。
先に確認する119番と受診の兆候
日本中毒情報センターは、意識がない、けいれんを起こしているなど重い症状がある場合、直ちに救急車を呼ぶとしている。総務省消防庁の成人向けリーフレットは、急な息切れや呼吸困難、突然または持続する激しい腹痛、吐血や血便、意識がおかしい、けいれんが止まらない状態を119番の判断項目に挙げている。
嘔吐、腹痛、下痢が軽く見えても、野生キノコを食べた事実を省いて判断しない。日本中毒情報センターは、食べた本人に症状がある場合や、本人が無症状でも一緒に食べた人に症状がある場合、有毒キノコを食べた可能性を考えて必ず医療機関を受診するよう求めている。
オオシロカラカサタケ──白い傘と緑色のひだ
東京都保健医療局は、オオシロカラカサタケが春から秋に公園の芝生や道路脇の草地で発生し、傘は白色で褐色のうろこ状の鱗片があり、ひだは白色から緑色、暗緑褐色へ変わると説明している。柄の上部にはつばがあり、嘔吐、腹痛、下痢などの中毒症状を起こす。
これらは危険を疑う特徴であり、採食のための見分け方ではない。日本中毒情報センターは、キノコの形が生息場所や時期で変わり、専門家でも見分けるのが困難だとしている。厚生労働省は、食用と確実に判断できないキノコを採らない、食べない、売らない、人にあげないよう呼びかけている。
症状が出る時間だけで菌種は決まらない
食品安全委員会は、オオシロカラカサタケを消化器障害型に含め、この型の潜伏期間の目安を20分〜2時間、主な症状を吐き気、嘔吐、下痢、全身の倦怠感としている。これは消化器障害型という分類全体の目安であり、食べたキノコの同定結果ではない。
食品安全委員会のオオシロカラカサタケ単独の資料は、悪寒、発熱、嘔吐、下痢、腹痛などを挙げる一方、摂取から発症までの時間を示さず、治療法と予後・後遺症を「該当データ無し」としている。20分〜2時間を自己診断や自宅で待つ時間に置き換えてはならない。
日本中毒情報センターは、6〜24時間後に消化器症状が出て、その後いったん回復したように見えてから肝障害へ進む毒キノコや、数十時間後に循環不全が出る種類も示している。短時間で症状が出なかったことを安全確認には使えない。
誤って食べた後の4段階
- 食べるのを止める。意識があり、自分で安全にうがいできる場合は、口の中に残っている物を取り除いて口をすすぐ。残ったキノコや調理品は捨てない。
- 家庭で吐かせない。日本中毒情報センターは、家庭で吐かせる方法を勧めず、吐いた物が気管へ入る危険を指摘している。飲食物によって応急手当が異なるため、自己流の処置を加えない。
- 受診か119番につなぐ。症状がある、同じキノコを食べた人に症状がある場合は医療機関を受診する。意識障害、けいれん、呼吸困難、激しい腹痛、吐血や血便があれば119番へ連絡する。
- 残った物と時間軸を渡す。受診時は残ったキノコや調理品を持参し、採取場所、調理方法、食べた量と時刻、症状が始まった時刻、一緒に食べた人の状況を伝える。
受診の必要性や応急手当の判断に迷う場合は、中毒110番へ連絡する。日本中毒情報センターの一般専用電話は365日24時間対応で、大阪中毒110番が072-727-2499、つくば中毒110番が029-852-9999である。意識障害やけいれんなど119番の兆候があるときは、電話相談を先にせず救急車を呼ぶ。
乳幼児、妊娠中、高齢者、持病・常用薬がある人
農林水産省は、乳幼児、高齢者、妊娠中の人、肝疾患・がん・糖尿病の治療中の人、ステロイド薬を使用している人などは食中毒の症状が重くなる可能性があるとして、医師の診察を受けるよう案内している。該当する人は、成人一般の経過観察を当てはめず、野生キノコを食べた事実と持病、常用薬、妊娠の状況を医療機関へ伝える。
オオシロカラカサタケについて、小児、妊婦、高齢者、持病や常用薬がある人に固有の毒量、発症時間、家庭での対応を示す国内の公的資料は、本稿の執筆時点で確認できていない。これらの人が誤食した場合は、無症状でも医師または中毒110番に相談し、成人向けの対応を自己判断で当てはめない。
よくある質問
白い傘と緑色のひだがあれば、オオシロカラカサタケなのか
外見だけでは確定しない。特徴は危険を疑う材料にとどまり、食用かどうかの判定には使えない。
症状が2時間出なければ安全なのか
安全とは確認できない。20分〜2時間は消化器障害型の目安であり、遅れて重い症状が出る毒キノコもある。受診の要否は中毒110番または医療機関へ相談する。
食べた直後に吐かせたほうがよいのか
家庭では吐かせない。口に残った物を取り除いて口をすすぎ、残ったキノコと調理品を確保して中毒110番または医療機関へ連絡する。
出典・参考資料
- 毒キノコによる食中毒への注意喚起(厚生労働省)食用と確実に判断できないキノコに関する四つの禁止事項
- オオシロカラカサタケ(東京都保健医療局)発生場所、時期、傘・ひだ・柄の特徴と中毒症状
- 毒キノコによる食中毒にご注意ください(食品安全委員会)毒キノコの作用別分類、潜伏期間と主な症状
- ハザード概要シート(案)(オオシロカラカサタケ)(食品安全委員会)オオシロカラカサタケの形態、中毒症状、治療法・予後資料の限界
- きのこ中毒に注意(公益財団法人日本中毒情報センター)受診の条件、持参する物、医療機関へ伝える情報、遅発性中毒
- 中毒事故が起こったら(家庭でできること、やってはいけないこと)(公益財団法人日本中毒情報センター)家庭で吐かせない理由と救急車を呼ぶ条件
- 日本中毒情報センター(公益財団法人日本中毒情報センター)一般向け中毒110番の受付時間と電話番号
- 救急車利用リーフレット 成人版(総務省消防庁)呼吸困難、意識障害、けいれん、激しい腹痛、血便など119番の判断項目
- 食中毒かな?と思ったら(農林水産省)重症化しやすい人、受診と食べ残しの保管