帯状疱疹は、過去の水ぼうそうで体内に潜伏した水痘・帯状疱疹ウイルス(Varicella-zoster virus、VZV)が再び活動し、神経に沿って痛みを伴う水疱を生じる病気だ。厚生労働省は、皮膚症状が治った後も痛みが残る帯状疱疹後神経痛(Postherpetic Neuralgia、PHN)があり、発症者は70歳代で最も多いとしている

日本では2025年度から、65歳などへの接種が予防接種法に基づく定期接種の対象に加わった。50歳はワクチンの承認年齢だが、国の定期接種が一律に始まる年齢ではない。2026年度に公的制度で受ける人は、年度内に迎える年齢、免疫状態、居住する市区町村の実施期間を確かめる必要がある。

診察室で医師と帯状疱疹ワクチンについて話す中高年の人(イメージ)

接種後に119番を急ぐ症状

接種後に全身へ広がるじんましん、急な息苦しさ、唇や喉の腫れ、呼びかけへの反応が鈍い状態が現れた場合は、アナフィラキシーやショックが疑われる。厚生労働省は、生ワクチンと組換えワクチンの双方で、頻度不明のアナフィラキシーが起こる場合があると示している。接種会場では直ちに職員へ伝える。帰宅後に急な呼吸困難や意識の異常が出た場合は、厚生労働省が救急車を呼ぶ症状として挙げており、119番を急ぐ

2026年度の対象──65歳と5歳刻みの経過措置

2026年度の定期接種は、年度内に65歳となる人に加え、経過措置として70、75、80、85、90、95、100歳となる人が対象となる。HIVによる免疫機能障害があり、日常生活がほとんど不可能な60〜64歳も対象に含まれる。100歳を超える人を年齢にかかわらず対象とした措置は2025年度限りで、2026年度は年度内に100歳となる人に限られる。

定期接種は無料とは限らない。実施期間、自己負担額、接種を扱う医療機関、選べるワクチンは自治体や医療機関で異なる。組換えワクチンは2回必要なため、1回目の予約前に2回目まで公的制度の期間内に収まるかを自治体の通知で確認する。

生ワクチンは1回、組換えワクチンは2回

生ワクチンは、弱毒化した水痘・帯状疱疹ウイルスを使い、1回を皮下に接種する。医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency、PMDA)の添付文書では、帯状疱疹予防の承認対象は50歳以上である

組換えワクチンは生きたウイルスを含まず、筋肉内に2回接種する。PMDAの添付文書は、標準間隔を2か月とし、2か月を超えた場合も1回目から6か月後までに2回目を接種すると定めている。50歳以上に加え、病気や治療で帯状疱疹の危険が高い18歳以上も承認対象である。免疫機能が低下した人などで医師が早期接種を必要と判断した場合、間隔は1か月まで短縮される。

公表された効果──持続期間と副反応を合わせて読む

厚生労働省がまとめた帯状疱疹の予防効果は、生ワクチンが接種1年後に6割程度、5年後に4割程度、組換えワクチンが1年後に9割以上、5年後に9割程度、10年後に7割程度である。生ワクチンの10年後は数値が示されていない。PHNへの予防効果は接種3年後で、生ワクチンが6割程度、組換えワクチンが9割以上と報告されている。

これらは異なる研究の報告を厚生労働省がまとめた集団の平均値で、両製剤を同じ条件で直接比較した数字ではない。接種した個人が発症しない確率も保証しない。組換えワクチンは公表値で効果が長く続く一方、2回の受診が必要で、接種部位の痛みは7割以上と報告されている。免疫状態、期限、自己負担額を含め、医師と選択する。

発熱中と免疫抑制治療中では扱いが異なる

明らかな発熱がある人、重い急性疾患にかかっている人、ワクチン成分でアナフィラキシーを起こしたことがある人は、その時点では接種を受けられない。心臓、腎臓、肝臓、血液の病気、過去のけいれん、接種後のアレルギー症状がある人は、予診で医師へ伝える。組換えワクチンは筋肉注射のため、血小板減少症、凝固障害、抗凝固療法中の人も事前の確認が要る。

生ワクチンは、明らかな免疫機能異常がある病気の人や、免疫抑制を起こす治療を受けている人には接種しない。化学療法、造血幹細胞移植、免疫抑制薬の使用前後に組換えワクチンを選ぶ場合も、治療予定と免疫状態に応じて主治医が接種時期を決める。ワクチンのために常用薬や治療を自己判断で中断しない。

よく起こる反応と医療機関へ連絡する症状

厚生労働省の集計では、生ワクチンの接種部位の発赤は3割以上、かゆみ、熱感、腫れ、痛み、硬結は1割以上にみられる。組換えワクチンでは接種部位の痛みが7割以上、発赤、筋肉痛、疲労が3割以上、頭痛、腫れ、悪寒、発熱、胃腸症状が1割以上である。

頻度は不明だが、生ワクチンではアナフィラキシー、免疫性血小板減少症、無菌性髄膜炎、組換えワクチンではショック、アナフィラキシー、ギラン・バレー症候群が重大な副反応として挙げられている。高熱、けいれん、強い頭痛と首の硬さ、広がる紫斑や鼻血、手足に力が入りにくい状態が出た場合は、速やかに接種医療機関へ連絡する。呼吸困難や意識の異常は119番の対象となる。

帯状疱疹ワクチンの小瓶と予防接種の案内資料(イメージ)

妊娠中、子ども、罹患歴がある人

生ワクチンは妊娠中には接種せず、添付文書は妊娠可能な人に接種前約1か月と接種後約2か月の避妊を求めている組換えワクチンは、妊娠中には接種の利益が危険を上回ると医師が判断した場合に限られ、授乳中も接種と授乳の利益を踏まえて判断する

帯状疱疹予防としての生ワクチンは50歳以上、組換えワクチンは50歳以上または危険が高い18歳以上が承認対象で、子どもへ成人の接種予定を当てはめない。一方、水ぼうそうや帯状疱疹にかかったことがある人も、年齢などの条件を満たせば定期接種の対象となる。発症後の接種時期は一律の日数で決めず、皮膚症状や治療状況を医師に伝える。

50〜64歳は承認対象と定期接種を分けて考える

50〜64歳は両ワクチンの承認対象に含まれるが、HIVによる所定の免疫機能障害がある60〜64歳を除き、国の定期接種の年齢には当たらない。任意接種の費用や自治体独自の助成は居住地で異なる。65歳以上でも、定期接種の対象となる年度を外れると扱いが変わるため、自治体から届く案内と過去の接種記録を照合する。

2026年度の全市区町村について、自己負担額、予約期限、取扱製剤を一括で照合できる国の公的資料は、本稿の執筆時点で確認できていない。予約前の確認項目は、対象年度、実施最終日、指定医療機関、取扱製剤、自己負担額、2回目の期限である。過去に接種済みの場合は、記録を示して定期接種の対象になるかを市町村へ確認する。

よくある質問

50歳になれば定期接種を受けられるのか
50歳は両ワクチンの承認年齢だが、国の定期接種は原則65歳である。2025〜2029年度は70〜100歳の5歳刻みに経過措置があり、60〜64歳ではHIVによる所定の免疫機能障害がある人が対象となる。

生ワクチンと組換えワクチンはどちらを選ぶのか
一律の答えはない。生ワクチンは1回だが免疫機能が低下した人と妊娠中の人は接種対象にならない。組換えワクチンは2回で、厚生労働省の公表値では効果が長く続く一方、接種部位の痛みなどが多い。免疫状態、接種期限、自己負担額を医師と確認して選ぶ。

帯状疱疹にかかった後も定期接種の対象か
年齢などの条件を満たせば対象となる。接種時期を全国一律の日数で示した厚生労働省の案内はないため、症状が治まった時期と治療内容を医師へ伝えて決める。

定期接種なら無料なのか
無料とは限らない。実施期間、自己負担額、指定医療機関、取扱製剤は市区町村で異なる。組換えワクチンを選ぶ場合は、2回とも制度の期間内に収まるかを予約前に確認する。